A Little Autumn

ちいさい秋みつけた

作詞:サトウハチロー
作曲:中田喜直

めかくしおにさん

火傷の後遺症に苦しんだ幼少期の作詞者
大切な母との思い出

まず「誰かさん」とは誰なのかについては、ここでは、火傷の後遺症で家にこもりがちになってしまった幼少期のサトウハチローであるとの解釈で説明を試みたい。

幼少期のハチローは、引きこもっていた部屋の中で、外で遊んでいる他の子供たちがうらやましく、その様子をじっと耳を澄まして聴いていたことだろう。

「めかくし鬼」とは昔の子供の遊びの名前。鬼役の子供が目隠しをして、それ以外の子供は手をたたいて鬼から逃げ回るという遊び。京都・大阪では「めんない千鳥」と呼ばれた。

めかくし鬼で遊ぶ子供たちの楽しそうな声を、部屋の中からうらやましそうに聴いていたであろう幼少期のハチロー。

するとそこへかすかに耳にしたモズ(百舌鳥)の鳴き声。モズは秋になると、鋭い声で「キーイッ、キーイッ」と鳴き縄張り争いをする習性があり、秋の季語となっている。

あまり外に出られず、季節の変化を肌で感じる機会が少なかった幼少期のハチローにとって、部屋の中でかすかに聴いたモズの鳴き声は、ほんの小さい声ではあったが、季節が感じられた印象的な「ちいさい秋」だったのだ。

引用:世界の民謡・童謡より

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誰かさんが 誰かさんが (那個人,那個人)
誰かさんが みつけた (發現了)
ちいさい秋 ちいさい秋 (小小的秋天)
ちいさい秋 みつけた (發現了,小小的秋天)
めかくし鬼さん (捉迷藏的孩子) 
手のなる方へ (手向前方探索)
すましたお耳に (豎起耳朵) 
かすかにしみた (微細地感受)
よんでる口笛 (呼喚的口哨)
もずの声 (是百舌鳥的叫聲)
ちいさい秋 ちいさい秋 (小小的秋天)
ちいさい秋 みつけた (發現了,小小的秋天)

[二番]
お部屋は北向き (向北的房間)
くもりのガラス (裝上了磨砂玻璃)
うつろな目の色 (失神的目光)
とかしたミルク (有如融化的牛乳)
わずかなすきから (從窄細的縫隙)
秋の風 (吹進了秋風)

[三番]
むかしの むかしの (很久很久以前)
風見の鳥の (風向雞)
ぼやけたとさかに (褪色的雞冠上)
はぜの葉ひとつ (飄落一片)
はぜの葉あかくて (轉紅的黃櫨葉)
入日色 (是落日的顏色)

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誰かさん:A certain somebody; you-know-who
目隠し:めかくし
鬼:おに
染みる:しみる
口笛:くちぶえ
百舌:もず
虚/空ろ:うつろ
融かす:とかす
隙:すき
風見:かざみ
風見鶏:かざみどり
ぼやける:to become blurred
鶏冠:とさか
櫨:はぜ (野漆樹)
入日色:いりひいろ
火傷:やけど
後遺症:こういしょう
苦しむ:くるしむ>>くるしんだ
幼少期:ようしょうき
作詞者:さくししゃ
解釈:かいしゃく
試みる:こころみる
千鳥:ちどり
鋭い:するどい
縄張り争い:なわばりあらそい (turf war)
季語:きご
印象的:いんしょうてき




ENDLESS - 1985年2月に行われた武道館コンサートを収録した2枚組アルバム。童謡の「小さい秋みつけた」が収録。ボーカルの玉置浩二は当時'この曲を超えたい'と言っていたらしい。


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